- てんか
- I
てんか【天下】〔「てんが」とも〕(1)天の下に広がる全空間。 世界中。
「~に比類のない名勝」
(2)一国全体。 国中。 また, 世の中。 世間。「~を二分する戦い」「~を揺るがす事件」「夜の幕はとくに切り落されて, ~は隅から隅迄明るい/草枕(漱石)」
(3)一国の政治。 また, 国家を治める権力。「~を取る」
(4)力を十分に発揮できる状態。「若者の~だ」
(5)(「天下の」の形で用いて)他に並ぶ者がないこと。「~の横綱」「~の愚か者」
(6)一国を支配する者。 天子・摂関・近世の将軍など。「その上~の敵になり参らせたる者にてあるに/義経記 6」
(7)めくりカルタで, あざの札。「よくぢや~を持つていなるるの/雑俳・削かけ」
(8)(「とも」「ども」などを伴って)どんなに。 いかに。「~に目つぶれ, 足をれ給へりとも/源氏(玉鬘)」
~の憂(ウレ)いに先立ちて憂え、天下の楽しみに後(オク)れて楽しむ〔范仲淹「岳陽楼記」〕世の中の人に先立って天下国家のことを心配し, 人々が楽しんだあとに楽しむ。 政治を行う者の心構えを説いた言葉。 先憂後楽。~は一人(イチニン)の天下にあらず、乃(スナワ)ち天下の天下なり〔六韜(文師)〕天下は君主一人の物ではなく, 国民全部の物である。~は回り持ち世の中は固定したものではなく, 貴賤貧富は, 次々に人々の間をめぐっていくということ。~晴れて世間に気がねなく。 公然と。II「~夫婦となる」
てんか【天火】(1)天の下した火災。 落雷による火災など。「~乗り物に落ちて/浮世草子・新永代蔵」
(2)「天火日(ニチ)」に同じ。IIIてんか【天花・天華】雪のこと。→ てんげ(天花)IVてんか【添加】(1)ある物に他の物をつけ加えること。「食品~物」「ビタミン C を~する」
(2)「音(オン)添加」に同じ。Vてんか【点化】従来の物を改めて新たにすること。VI「人性を~し, 高邁にし/日本風景論(重昂)」
てんか【点火】(1)火をつけること。「導火線に~する」
(2)内燃機関で, シリンダー内の燃料を爆発させるための操作。 イグニッション。VIIてんか【甜瓜】マクワウリの漢名。VIIIてんか【転化】(1)ある状態が他の状態に変わること。「愛情が憎悪に~する」
(2)ショ糖水溶液が加水分解されてブドウ糖と果糖が生成するとき, 全体として旋光性が右旋性から左旋性に逆転すること。IXてんか【転嫁】(1)自分の過ち・責任などを他人に負わせること。 他人におしつけること。「責任を~する」
(2)二度の嫁入り。 再婚。Xてんか【転科】学生が所属する学科を変えること。XIてんか【転訛】語の本来の音がなまって変化すること。 また, その語や音。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.